「退職一時金が廃止されるらしい」——社内アナウンスや同僚の噂で耳にして、不安を感じている方は多いのではないでしょうか。特に20代で入社して数年、これから長く働くつもりだった方にとって、老後資金の柱と考えていた制度の変更は将来設計を揺るがす大きな出来事です。
当編集部では、退職一時金制度の廃止・見直しが進む背景と、20代の第二新卒・転職検討者が今すぐ取るべき具体的な行動を整理しました。本記事では、制度変更の実態、廃止された場合の影響試算、そして「留まる」「動く」の判断基準までを一貫して解説します。
この記事の結論:退職一時金の廃止は「損失」だけではなく、確定拠出年金(DC)や前払い制度への移行を伴うケースが多く、条件次第では中立〜プラスにもなり得ます。ただし、制度変更を機に自社のキャリア環境そのものを見直す価値は十分にあり、20代のうちに「制度の理解 → 自社評価 → 選択肢の可視化」の3ステップで動くことが最も合理的です。
こんな方に向けた記事です
- 勤務先で退職一時金の廃止・見直しがアナウンスされた20代の方
- 退職金制度の変更を機に、転職も選択肢として考え始めた方
- 確定拠出年金(DC)や前払い退職金の仕組みを整理したい方
- 老後資金や将来設計に漠然とした不安を抱えている第二新卒の方
- 制度変更を理由に会社に残るべきか動くべきか迷っている方
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退職一時金制度とは:基本の定義と近年の動向

退職一時金の基本定義
退職一時金とは、労働者が退職する際に企業から一括で支給される金銭のことです。企業年金(月々や年ごとに分割で支給される制度)と対比される概念で、退職金制度の代表的な形式として長く日本企業に定着してきました。
厚生労働省「就労条件総合調査(令和5年)」によれば、退職給付制度がある企業のうち、退職一時金制度のみを採用する企業、退職年金制度のみを採用する企業、両方を併用する企業がそれぞれ存在し、企業規模や業種によって構成比は異なります。中小企業では一時金のみのケースが多く、大企業では併用型が主流となっているのが実態です。
近年の「廃止・見直し」の動き
「退職一時金廃止」という言葉が話題になる背景には、以下のような制度変更の動きがあります。
- 確定拠出年金(DC)への移行:退職一時金を廃止し、企業型DCに一本化する
- 前払い退職金への移行:退職時にまとめて支払う代わりに、月給・賞与に上乗せする
- 選択制の導入:従業員が「一時金」「DC」「前払い」から選べる制度に変更する
- 完全廃止:退職給付制度自体を縮小・廃止する(ごく一部)
厚生労働省の調査でも、退職給付制度の形式は多様化しており、企業型確定拠出年金の導入企業数は年々増加傾向にあります(出典:厚生労働省「企業年金・個人年金制度の現状」各年公表資料)。
なぜ企業は退職一時金を見直すのか
企業側の主な理由は次の通りです。
- 会計上の負担軽減:退職給付債務(将来支払う退職金の現在価値)がBS上の負債として計上されるため、経営指標を圧迫する
- 人材流動性への対応:長期勤続を前提とした一時金制度は、転職前提の若手にとって魅力が低下している
- 運用リスクの分散:確定給付型(DB)は企業が運用リスクを負うが、確定拠出型(DC)は従業員が負う
- 人件費の変動費化:前払い制度に切り替えることで、退職給付債務を圧縮できる
退職一時金が廃止されたときの具体的な影響
ケース1:確定拠出年金(DC)に移行した場合
企業型DCへ移行する場合、それまで積み立てられていた退職一時金相当額が「移換金」としてDC口座に払い込まれ、以降の掛金も企業が拠出します。
メリット:
– 転職しても資産を持ち運べる(ポータビリティ)
– 運用益が非課税(通常20.315%の税金がかからない)
– 60歳以降の受け取り時に退職所得控除や公的年金等控除が使える
デメリット:
– 運用結果によっては元本割れの可能性がある
– 原則60歳まで引き出せない
– 商品選択・運用の知識が必要
ケース2:前払い退職金に移行した場合
月給や賞与に「前払い退職金相当額」として上乗せされる形式です。
メリット:
– 現在の可処分所得が増える
– 転職・退職時の心配が減る
– 自分で自由に使える(投資・貯蓄も選択可)
デメリット:
– 給与扱いのため所得税・住民税・社会保険料がかかる
– 退職所得控除(税制優遇)が使えない
– 手取りベースでは目減りする可能性がある
20代の試算例:月収25万円・勤続3年の場合
仮に、勤続20年で退職一時金500万円が想定されていたケースを想定します。
- 一時金のまま受給した場合:退職所得控除により、勤続20年で800万円まで非課税枠(20年×40万円)。500万円は全額非課税で手取り約500万円
- 前払いに移行した場合:月々約2万円が給与上乗せ。所得税・住民税・社会保険料で概ね20〜30%が控除され、手取りベースでは目減りする傾向
- DCに移行した場合:年利3%で20年運用と仮定すると、掛金元本+運用益で額面が増える可能性(ただし運用結果次第)
※上記はあくまで概算のシミュレーション例です。実際の税負担・運用結果は個人の給与水準や運用商品によって大きく変わるため、詳細は勤務先の人事部門や社会保険労務士等の専門家にご確認ください。
退職一時金廃止時に20代がとるべき5つの行動

ステップ1:制度変更の詳細を正確に把握する
まず、社内アナウンスや就業規則の変更内容を精読しましょう。確認すべきポイントは次の通りです。
- 廃止時期と経過措置の有無
- 既存の積立分の取り扱い(移換金の計算方法)
- 移行先の制度(DC/前払い/選択制)
- 掛金・拠出額の水準
- 従業員説明会の開催予定
ステップ2:移行先制度のメリット・デメリットを整理する
DCに移行するなら運用商品ラインナップ、前払いなら手取り試算、選択制ならどれを選ぶかを検討します。人事部門への質問リストを作っておくと、説明会や個別面談で漏れなく確認できます。
ステップ3:自社のキャリア環境を客観視する
制度変更を機に、退職金以外の要素も含めて自社を評価してみましょう。
- 給与水準は業界平均と比較してどうか
- 昇給・昇進の実態は透明性があるか
- スキルアップ・成長機会はあるか
- 労働時間・働き方に無理はないか
ステップ4:転職市場での自分の価値を把握する
「動く/動かない」を判断するためには、比較対象が必要です。転職エージェントに登録して求人情報を眺めるだけでも、自分の市場価値の目安がつかめます。この段階では実際に応募する必要はありません。
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ステップ5:老後資金の自主形成を並行して進める
制度変更に関わらず、20代のうちからiDeCoやNISAを活用した資産形成を始めておくと、将来の選択肢が広がります。特に企業型DCがない場合はiDeCo、投資枠を活用するなら新NISA(つみたて投資枠)の併用が現実的です。
退職一時金廃止時のメリット・注意点
従業員側にとってのメリット
- ポータビリティの向上:DCに移行すれば転職時も資産を持ち運べる
- 自分で運用の主導権を握れる:商品選択次第で退職金より高いリターンも狙える
- 前払いなら可処分所得が増える:住宅ローン返済・投資・自己投資の原資に
- 税制優遇の活用:iDeCoやNISAとの併用で節税効果を最大化できる
- 短期離職でも損失が少ない:一時金の場合、短期離職では退職金がほぼゼロだが、DCなら積立額が保全される
従業員側にとっての注意点
- 運用リスクの負担:DCの場合、元本割れの可能性があり自己責任
- 税制上の不利:前払いは所得税・住民税・社会保険料が課されるため手取りが目減り
- 60歳まで引き出せない:DC移行分は原則老後まで受け取れない
- 金融リテラシーが必要:適切な運用商品を選ぶ知識が求められる
退職金制度の変更を機に転職を検討すべき人・すべきでない人
転職を検討する価値がある人
- 制度変更で明らかに待遇が悪化する(前払い移行で手取りが大幅減など)
- 制度変更以外にも不満(残業・人間関係・成長機会)が積み重なっている
- 20代のうちにキャリアの選択肢を広げておきたい
- 現職に3年以上在籍しており、ある程度のスキル・実績がある
- 家庭・住宅ローンなどの制約が少なく動きやすい
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転職を急ぐべきでない人
- 制度変更の内容がまだ確定していない(情報不足で判断できない)
- 現職に対する満足度が全体的に高い
- 移行先制度(DC等)を活用できれば実質的な損失が少ない
- 直近で結婚・出産・住宅購入などライフイベントを控えている
- 短期離職(在籍1年未満)で職務経験の蓄積が不十分
具体的な行動計画:退職一時金廃止アナウンスから3ヶ月
1ヶ月目:情報収集フェーズ
- 就業規則の変更条項を精読
- 人事部門への質問リストを作成
- 社内説明会に出席し、疑問点をクリアにする
- 同僚・先輩との情報交換で温度感を確認
2ヶ月目:試算・比較フェーズ
- 移行前後の受取総額シミュレーション
- 自社の給与・待遇を業界水準と比較
- 転職エージェントに登録し、市場情報を収集
- 履歴書・職務経歴書の下書き作成
書類作成に不安がある方は、第二新卒の履歴書・職務経歴書の書き方|採用担当者に響く5つのコツと例文を参考にすると、採用担当者に響くポイントが整理できます。
3ヶ月目:意思決定フェーズ
- 「留まる」「動く」「様子見」のいずれかを決定
- 動く場合は本格的な応募活動を開始
- 留まる場合はiDeCo・NISAでの自主形成をスタート
- 意思決定の記録を残し、半年後に再点検
面接対策まで進む場合は、第二新卒の面接対策完全ガイド|よく聞かれる質問15と模範解答例で退職理由の答え方を整理しておくと安心です。
よくある質問(Q&A)
Q1. 退職一時金の廃止は法的に問題ないのですか?
A. 退職金制度は法定義務ではなく、多くの企業では就業規則・退職金規程で定められています。制度変更には合理性・必要性・代替措置の妥当性・従業員への説明などが求められ、労働契約法第10条の「不利益変更の合理性」が争点になる可能性があります。一方的な廃止で不利益が大きい場合は、労働組合や弁護士への相談を検討しましょう。
Q2. 既に積み立てられていた分はどうなりますか?
A. 一般的には、廃止時点までの積立分は「移換金」としてDC口座に払い込まれるか、退職時に一時金として支給されるケースが多いです。ただし、企業の制度設計によって扱いが異なるため、就業規則と個別通知の内容を必ず確認してください。
Q3. 前払い退職金は本当に損なのですか?
A. 一概には言えません。前払いは可処分所得が増える代わりに税・社会保険料の負担が発生します。ただし、若いうちから自分で運用・投資に回せば、退職所得控除を上回るリターンを得られる可能性もあります。金融リテラシーとライフプラン次第です。
Q4. 退職金制度の変更を理由に転職するのは面接で不利になりますか?
A. 「退職金がなくなったから」だけでは動機が弱く見られがちです。「制度変更を機に、自分のキャリア設計を見直した結果、より成長できる環境を求めた」といった前向きな整理が必要です。退職理由の言い換え方は、退職理由のポジティブ変換例30選を参考にしてください。
Q5. 20代でiDeCoを始めるべきですか?
A. 企業型DCがない、または掛金枠に余裕がある場合はiDeCoの活用価値が高いです。ただし60歳まで引き出せない制約があるため、住宅購入・結婚などの短中期資金は新NISAや預貯金で確保するのが基本です。
Q6. 転職エージェントは複数登録すべきですか?
A. 20代の第二新卒層では、汎用型エージェント2〜3社の併用が現実的です。得意領域や担当者との相性が異なるため、複数登録して比較検討することで、より自分に合った求人・アドバイスに出会える可能性が高まります。
まとめ:退職一時金廃止は「情報整理」から始めよう
退職一時金の廃止・見直しは、20代にとって決してマイナスばかりではありません。DCへの移行ならポータビリティが向上し、前払いなら可処分所得が増え、いずれも「短期離職リスクが下がる」という側面があります。
一方で、制度変更を機に自社のキャリア環境そのものを見直す価値は十分にあります。「情報を正確に把握する → 自社を客観評価する → 選択肢を可視化する」の3ステップで、感情ではなくデータに基づいた意思決定を心がけてください。
改めて、本記事で紹介した中でも、20代で初めての転職相談を考えるなら第二新卒エージェントneoが有力な選択肢の一つです。書類添削から面接対策、条件交渉まで一括してサポートしてもらえます。
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制度変更のアナウンスを受けた直後は不安が先立ちがちですが、正しく情報を整理すれば「留まる」「動く」いずれの選択も納得感を持って決められます。焦らず、しかし先延ばしにせず、3ヶ月を目安に自分の方向性を固めていきましょう。
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